TFA-Qi3

ことの発端は下鴨の天才メカニックのひらめきでした。

まずこのホーザンの振れ取り台について説明しておかなければならないでしょう。

HOZAN C-330 をはじめとする鋳鉄製の振れ取り台はほとんどのジテンシャヤサンに1台はある定番中の定番振れ取り台です。

ただHOZANのウエブサイトにはもう載っておらず現行品はC-300となっています。URLはこちら 重量は9.6kgとなっています。

PARKTO◯LやMIN◯URAからも振れ取り台がリリースされる中、大きくて重たいC-330は新しい需要がなくなったのかもしれません。スルーアクスルの登場で振れ取り台に求められる構造の変化もあったことでしょう。#なぜそこ伏せ字

しかし今でもオークショソサイト等ではお手頃な価格で取引されているようで、C-330以外にもハタヤなど他のメーカーさんのものも見受けられかつて完組という概念がなかった頃の必須技術であったホイール組の尊さを垣間見ることができます。問題は送料です。

HOZAN C-330 photo(c)monotaroさん

だがこのC-330をはじめとする鋳鉄製振れ取り台にはほかの機種ではまったく及ばない優れた特徴があるのをご存知でしょうか。

それはチューブラータイヤの天ブレを取る、です。

リムからタイヤを持ち上げるときの、C-330(ほか)の11kgという安定感、左右からハブ軸をがっちりと掴んだ安定感、持ち上げる際に踏んでおける台座の安定感、とにかく安定感が最高です。

中の人も欲しくて欲しくてたまらなかったですがうちで一番えらい人に稟議がとおりませんでした。まったく痛恨の極みです。

とにかく決戦用チューブラーを貼るときにはこれ以上のものを私は知りません。私が知らないだけでもっといいものがあるのかもしれませんが、また機会があったら教えてください。

さて

トーマスが振れ取り台の測定子(接触子)で掴まれているのを見て思いました。

ここはわいの出番やな、と。

なんといってもトーマスにはうちのご子息が大変お世話になったのです。その節はありがとうございました。

問題は2つです。1.細い尖った測定子でトーマスは痛くないのか?2.測定子がゆるむとトーマスが落ちないのか?

このタスクの次世代ソリューションは広い面積で大きく挟む、測定子がゆるんで仮に固定がずれてもせめて落ちないように持ち出しをつける、です。

まずこのような形状を考えました。常日頃こんなことばかりしているわけではありません。お仕事もしています。こういうのは休憩時間にするのです。


しかし私が設計で考えるのは、部品と可動部は少ないほどいい、同じ機能なら小さいほうがいい、です。

レールは2本もいらないし、かえってトーマスの形状によっては融通がきかなくなるかもしれないので1本にし、測定子を支える部分は高さ方向に遊びを設けました。

トーマスに当たる内側は弾性のある素材で車体にダメージを与えずフィットします。全体には少し遊びを設けてトーマスがゴードンになったりしても適合する仕組みになっています。もしトーマスが将来退役してもいわむらさんはまたきかんしゃを買ってくるに違いないからです。

そしてできあがったのがこちら

TFA-Qi3(THOMAS FIXING Attachment – QBEI Iwamura San)です。シマ/ブルーにしてみました。#なぜそこ伏せ字

そして無事に当日発送翌日配達となり使っていただけたようです。

これによりトーマスが確実に固定され本来の実力をいかんなく発揮し、ボーイズのTL/TLRにシーラントが行き渡るよう願ってやみません。

また、トーマスを2台お持ちの方はシーラントをビード部まで確実に回す2軸機構を備えた TSSS-Qi3(THOMAS Sealant Spread System- QBEI Iwamura San)もございます。

弊社は今後もトップメカニシャンの繰り出すおもろそうな事象に敏感に反応し、思いつきで対応していく所存です。遊ぶときは全力で遊ぶからこそ楽しいのです。今後とも京都産業大学体育会自転車競技部への熱いご声援をよろしくお願いいたします。

なお本製品は競技専用部品につき(ほんまか)お取り扱いは弊社オーソライズドプレンミャムディーラーでの対面販売のみとなります(どこや

デスクホイールの穴をどうふさぐかについて

おまたせしました。TTの季節がやってきました。

デスクホイールは男子の心をウキウキさせます。自慢ではありませんが自慢ですが、中の人はいまからさんじゅうねんぐらい前に西日本学連で初めてデスクホイールを使った人です。「なんやそれ」「そんなんで速うなるか、セントラは気合や」「なんぼしたん?」などと物珍しがられましたが本気で記録を出したければやるときはやる、それがわいです。

さて、そのデスクホイールですが空気をいれるバルブのとこは穴があいていて、新品を買うとふさぐシールが付いてくるのですが、しょせんはシールなのでいずれくっつかなくなり、時としてレース中にはがれて飛んでいくという悲しい思いをした方も多いのではないでしょうか(あんまり見たことはないですが)。

さあ穴を塞ごう!となったときにすぐ思いつくのがガムテープです。布粘着テープともいいます。どこでも売ってるので便利です。

が、しかし

ガムテープはねっちゃりひっつきます。糸が出ます。のりが残ります。私は国体ほか大会に選手引率することがありますが、連盟や学校のデスクを見るたびに天一のラーメソよりもこってりとこびりついたガムテープののりに(ノ∀`)アチャーといつも思うのでした。

せっかくエアロなデスクなのにこのねちゃっとした塊はCd値に悪影響を与えないのでしょうか。機材の汚れは心の汚れ京都のある方がついったに書いてました。

そこで思い出しました。わいはシール屋ではないかと(今頃か)!

そこで「ふさぐちゃん」の登場です。ほんとにいつもネーミングで売上を逃がしていると思います。バルブホールステッカーBHS-01R にしておくともっと売れるのではないでしょうか。しかしできないのです。思いついたのは角型と丸型があるので「ふさぐちゃん角刈り/丸刈り」ぐらいでした。出直します。

しかしことの本質はそこではありません。

機材をクリーンに、エアロ性能を最大に引き出し、まあちょっとかっこいい、備えておくとコンビニに走らなくてもいい、それがふさぐちゃんです。

この製品は(ここから本題です待たせたな)自動車用のラッピングフィルムをカットしたもので適度にコシがあり平面を保ちます。よく見るのは薄いフィルムをぴたっと貼ってるんだけどシワが寄っているという現象です。フィルムは高級になると柔らかく薄くなる傾向がないではないのですがそれも適材適所であって、もったいない話です。

のりははがしてもホイール側に残らずいつもクリーンにきれいにはがれます。空気の泡も残りにくい構造なのでビシっと決まります。

設計のポイントはただの四角形に見えますがこの短辺がリムの形と同じカーブになっているところです。これはまだ誰にも言ってないので今なら話のネタに使えます。

黄色の点線が直径622mmです。わかりにくいですね

貼る際のご注意としては、脱脂とにかく洗浄脱脂です。シリコンオフまたは濃度の高いアルコールなどで汚れや油が残らないようにしてから貼ってください。とくにワックスやシリコン系コーティングはシールの敵です。くっつきません。くっつかないようにするための技術なのでとにかくくっつきません。なので、くっつきませんやんか、とおっしゃられても手も足も出ないぐらいいけません。

でもラッピングフィルムというのは再剥離性という性質があってどちらかというと初期接着力は弱めに感じます。これは施工時にずれたものを貼り直せるというフィルムさんの愛です。しかし愛があったとしても作ってる自分も出荷するときに少し心配なのは事実なので作業台にはしっこを貼って大丈夫なことを確認してからお届けしています。

作業台はブビンガ無垢材です。和室最高

貼る面をきれいにしてから貼り付け、指でかまわないので上からしっかりこすって押し付けてください。

国体やそのほか競技会で1km1分4秒ぐらいまでなら大丈夫なようでした。10000枚いただくわ?などのお問い合わせやご相談もお気軽にお寄せくださいね。

SHOP URL : https://csdesign.base.shop/items/82853419

 

 

 

とめるちゃんのお話

もっとこう、PH-GTR SS LIMITED 01R のような製品名にしたかったと思わないでもないですが、とめるちゃんです。

このたびお世話になっているチームの皆さんにご協力いただき弊社3Dプリント製フレームプレートホルダー「とめるちゃん」と「つけるくん」をあの日本最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン(以下T0J)」でテストしていただきました。こんな大舞台で正体がよくわからん(であろう)とめるちゃんを使っていただいたチームメカの皆さんには心よりお礼申し上げます。おかげさまで「なんやこれ」とのご指摘もなくツアー日程を完了いたしました。

そもそもは2022年の全日本選手権でフレームプレート(以下ゼッケンプレート・ぜっけそも同義)を作らせていただいた際に「穴どうあけます?」ということで、それをとめるホルダーにはどのようなものがあってどのような使い勝手なのかを調べたことから始まります。そしてそれぞれ長所もあれば短所もあり使い勝手もいろいろで、なにが一番いいのかを考えて昨年まず2ボルトの「つけるくん」の原型をつくりました。

つけるくん(プロトタイプです)

その後それを見てくださったいろいろな方、とくにプロチームメカニック(某コーチを含みます)の皆さんから様々なご意見をいただき試作を重ねていった末にひとまず到達したのが「とめるちゃん」です。車種専用で1ボルトのとめるちゃんは、できるだけ小さく軽く、プレートは車体に近く、そしてできるだけきれいなカーブで面をつなぐ設計としています。思ったよりねじが重くなってしまって平均重量は6gです。

当初、左右からプレートを挟む形で作りましたが、プレートが厚いと締まらねー!という大きな落とし穴が発覚し、片側から止めることとしました。結果、輪ゴム(的なアレな)や結束バンドなしで3ミリアーレンキー1本あればしっかりとまる製品ができました。ゴミも出なければネジの頭も大きいのでなくしにくいです。M5なのでもし会場でねじがない!となってもボトルケージのねじで代用できたりもします。

このように取り付けます

素材も、いろいろ試しました。
弊社では多種のフィラメントを使ってますが、グレードとしてはPLA→PETG→ASA→ASA-CF→PC-CF→PA-CFの順で強くなると思います。えーと、思いますというのは個人の感想が含まれているからで、私は材料工学とか理系の学問とは無縁の人間なのでひとまず事前に調べたりはしますが専門家ではないとお断りしておく感じです。これらはざっくり造形温度が後者ほど高いです(作るのが難しいです)。

じゅうどちゃんのときはUCI設定のPLAではさすがに耐熱温度が低い(50℃)と判断しPETG(70℃)にした経緯がありました。
今回は耐候性を考えるとASA以上の堅牢な素材が求められるため試したい素材は躊躇なく買い求めて銀行の残高が、いやそれはひとまずおいといて、やっぱり強いのはPA-CF(カーボンファイバーポリアミド)やな?と決めた次第です。PC(ポリカーボネート)でもいいかなと思いましたしASAでも大丈夫だとは思いますが、シートポストへ取り付ける時にPAのほうがアタリが柔らかいんですよね。

なお、T0Jにおいて京産大ほかチームさまに供給のモデルはASA製です。これは毎日メカニックさんがチェックしてくださるという特別な状況なのであえて鮮やかな色あいを優先し使わせていただきました。ただし中の人が数を間違って用意したので森田くんのはPA-CF製(黒)になっています。

Photo © 山岸さん

また、この製品は各シートポスト形状に合わせてモデルデータを作ってます。シートポスト現物をご提供いただきましたライダーさまメカニックさまメーカー各社さまのご協力なしでは完成できませんでした。重ねて厚くお礼申し上げます。対応モデルは順次拡大していきますが、ご自身のこの機種のを早く、いますぐ!の場合はぜひ現品を2日ほどお貸しください。これについてはまずお問合せフォームよりご相談いただけますと幸いです(すでに着手してるかもしれませんので)。また、ご提供(すぐお返しいたします)いただけるショップさんメーカーさんは大歓迎です。ぜひよろしくお願いいたします。

とめるちゃんつけるくんは開発中からお引き合いも多く、早く発売したかったですがそれでもレース中にこわれたりすると大変なことなのでじゅうぶんテストしてから、ということでの最終(改良はまだまだ続けますが)試験がT0Jでした。ものごとに絶対はないのですが、まず通常のレースであれば強度に問題はないと考えています。なお耐候性はありますが、ご使用時以外は外して保管していただくと長持ちします。

まーなかなか丈夫ですよ

さて、そのようにしてようやくお届けできることになりましたとめるちゃんとつけるくん。

おわけできる価格がお高めに感じられるのは承知してますが、材料自体がよいものなのですみません。それでもいいよ、と思ってくださる方に感謝を込めてお届けさせていただきます。
なお、チームバイクまるっと全部つけていただける場合の特別条件は別途ご用意します。お問い合わせください。

素材の特性上(というかなんというか)小さなバリやキズが残る場合がありますが、プロチームへ供給しているものも同じ仕上げですのでご了承ください。
まずはとめるちゃん 27.2ラウンド・TARMAC SL7 / 8・BS RP9・BMC Teammachine の対応モデルからリリースいたします。初回ロットはキャンペーソ価格にしています。ぜひご愛用ください。

SHOP URL : https://csdesign.base.shop/