文部科学大臣杯 第79回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会 @TIPSTAR DOME CHIBA に行ってきました。
この写真がどうしても撮りたかったです。京都産業大学にはスポーツクラブの活動を報道してくださる「京産大アスレチック」という編集局があり、主要大会に取材に来てかっこいい記事を書いて活躍ぶりを広報する、というお仕事をしてくれています。
自転車競技部担当の草薙記者は4年にわたりボーイズに寄り添いわかりにくい自転車競技各種目をよく勉強され、各年の活躍をくわしく報道し続けてくれました。私達OBに届けられる紙面だけでも部員のがんばりは十分すぎるほどよくわかり、いつもWEBや郵便で配信されるのを楽しみにしています。むしろアスレさんの配信がなければ選手の内面をここまで知る手立てがありませんでした。
この写真を撮りたかったのには理由があります。
まず、この4kmチームパーシュートという種目はとても美しいということ、それは「4人が力を合わせ」「一人を犠牲にしてまでも」「3人めを1/1000秒でもはやくFINISHへ連れて行く」という種目の性格が競技をわかって応援する(これわかってないとあまりおもしろくないです)者の琴線に触れる大きななにかを持っているということです。もはや演歌じゃないですかこれは。
ただしこの一人が途中離脱するのは合理的に戦略としてそれがチームとして一番よいタイムを出せるからであって、離脱した選手もともにフィニッシュラインを踏みたい気持ちはあるものの離脱するまでしっかりお仕事を全うして予定通り離脱する、犠牲という表現では説明しにくい緻密で科学的な根拠があるわけでそこはまたそれで興味深い見どころでもあります。
さて、そしてこの中距離団体種目の構造は拡大すると、最も良い結果を導くためにプレーヤーはもちろんサポーターやスポンサー・サプライヤーまでも含めて一つの目標に向けて取り組むという競技や社会そのものの縮図であるとも解釈できます。
選手はここまで厳しい訓練に耐え、監督やコーチ、ご両親、親戚や友達から通りすがりの赤の他人、OB/OG、アスレさんのような報道関係者さん、ファンの皆さん、そういった方たちの期待をしっかり受け止めてスタートラインに並びカウントダウンを受け、発走すれば自分たちが決めた方法でベストリザルトを叩き出す、うまくいけば大きな歓声で迎えられ、そうでないときも大きな拍手で労われるというアマチュアリズムの濃縮された美がこの4kmTPにはあり、それがトラックマニアの心に響くのではないでしょうか。
もちろん主役は選手で、スポーツ写真としてはこの構図↓↓↓で完成していると私は考えます。
しかしもう少し離れてよくみると、使われていない走行ラインの意外と広い外側のさらにその外から静かに静かにカメラを向け続けるシックな色合いのアスレさんがいて、内側から鼓舞する武田マネジャーのアイコニックな躍動感、鮮やかな蒼き衣をまとった部員たちとの素晴らしいコンビネーションになっている、だからここまでセットで内と外、静と動の組み合わせになってひとつの風景を完成させる「みんな」ですよね、というわけでこの選手たちを支えてきた彼女たちも含めた美しい構図を見てほしいなと思い記事に残すことにしました。
アスレさんの記事はおそれおおいほどの熱量に溢れ実際の1.2〜10000倍ぐらい(幅があります)かっこよく紹介されているので、どのようなエネルギッシュな方がひゃっほう♪と陽気に取材してるのかなと思っていましたが実は、選手にはスポットライトをあて続けるが決して自分は目立つことなく一歩離れたところから選手を見守ってくださっていた、草薙記者の静かな情熱のようなものをおそらくレース写真としては世に出ることはないであろう物言わぬ一枚の写真から汲み取っていただければ幸いです。自転車競技部を担当してくださってほんとうにありがとうございました。