とめるちゃんのお話

もっとこう、PH-GTR SS LIMITED 01R のような製品名にしたかったと思わないでもないですが、とめるちゃんです。

このたびお世話になっているチームの皆さんにご協力いただき弊社3Dプリント製フレームプレートホルダー「とめるちゃん」と「つけるくん」をあの日本最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン(以下T0J)」でテストしていただきました。こんな大舞台で正体がよくわからん(であろう)とめるちゃんを使っていただいたチームメカの皆さんには心よりお礼申し上げます。おかげさまで「なんやこれ」とのご指摘もなくツアー日程を完了いたしました。

そもそもは2022年の全日本選手権でフレームプレート(以下ゼッケンプレート・ぜっけそも同義)を作らせていただいた際に「穴どうあけます?」ということで、それをとめるホルダーにはどのようなものがあってどのような使い勝手なのかを調べたことから始まります。そしてそれぞれ長所もあれば短所もあり使い勝手もいろいろで、なにが一番いいのかを考えて昨年まず2ボルトの「つけるくん」の原型をつくりました。

つけるくん(プロトタイプです)

その後それを見てくださったいろいろな方、とくにプロチームメカニック(某コーチを含みます)の皆さんから様々なご意見をいただき試作を重ねていった末にひとまず到達したのが「とめるちゃん」です。車種専用で1ボルトのとめるちゃんは、できるだけ小さく軽く、プレートは車体に近く、そしてできるだけきれいなカーブで面をつなぐ設計としています。思ったよりねじが重くなってしまって平均重量は6gです。

当初、左右からプレートを挟む形で作りましたが、プレートが厚いと締まらねー!という大きな落とし穴が発覚し、片側から止めることとしました。結果、輪ゴム(的なアレな)や結束バンドなしで3ミリアーレンキー1本あればしっかりとまる製品ができました。ゴミも出なければネジの頭も大きいのでなくしにくいです。M5なのでもし会場でねじがない!となってもボトルケージのねじで代用できたりもします。

このように取り付けます

素材も、いろいろ試しました。
弊社では多種のフィラメントを使ってますが、グレードとしてはPLA→PETG→ASA→ASA-CF→PC-CF→PA-CFの順で強くなると思います。えーと、思いますというのは個人の感想が含まれているからで、私は材料工学とか理系の学問とは無縁の人間なのでひとまず事前に調べたりはしますが専門家ではないとお断りしておく感じです。これらはざっくり造形温度が後者ほど高いです(作るのが難しいです)。

じゅうどちゃんのときはUCI設定のPLAではさすがに耐熱温度が低い(50℃)と判断しPETG(70℃)にした経緯がありました。
今回は耐候性を考えるとASA以上の堅牢な素材が求められるため試したい素材は躊躇なく買い求めて銀行の残高が、いやそれはひとまずおいといて、やっぱり強いのはPA-CF(カーボンファイバーポリアミド)やな?と決めた次第です。PC(ポリカーボネート)でもいいかなと思いましたしASAでも大丈夫だとは思いますが、シートポストへ取り付ける時にPAのほうがアタリが柔らかいんですよね。

なお、T0Jにおいて京産大ほかチームさまに供給のモデルはASA製です。これは毎日メカニックさんがチェックしてくださるという特別な状況なのであえて鮮やかな色あいを優先し使わせていただきました。ただし中の人が数を間違って用意したので森田くんのはPA-CF製(黒)になっています。

Photo © 山岸さん

また、この製品は各シートポスト形状に合わせてモデルデータを作ってます。シートポスト現物をご提供いただきましたライダーさまメカニックさまメーカー各社さまのご協力なしでは完成できませんでした。重ねて厚くお礼申し上げます。対応モデルは順次拡大していきますが、ご自身のこの機種のを早く、いますぐ!の場合はぜひ現品を2日ほどお貸しください。これについてはまずお問合せフォームよりご相談いただけますと幸いです(すでに着手してるかもしれませんので)。また、ご提供(すぐお返しいたします)いただけるショップさんメーカーさんは大歓迎です。ぜひよろしくお願いいたします。

とめるちゃんつけるくんは開発中からお引き合いも多く、早く発売したかったですがそれでもレース中にこわれたりすると大変なことなのでじゅうぶんテストしてから、ということでの最終(改良はまだまだ続けますが)試験がT0Jでした。ものごとに絶対はないのですが、まず通常のレースであれば強度に問題はないと考えています。なお耐候性はありますが、ご使用時以外は外して保管していただくと長持ちします。

まーなかなか丈夫ですよ

さて、そのようにしてようやくお届けできることになりましたとめるちゃんとつけるくん。

おわけできる価格がお高めに感じられるのは承知してますが、材料自体がよいものなのですみません。それでもいいよ、と思ってくださる方に感謝を込めてお届けさせていただきます。
なお、チームバイクまるっと全部つけていただける場合の特別条件は別途ご用意します。お問い合わせください。

素材の特性上(というかなんというか)小さなバリやキズが残る場合がありますが、プロチームへ供給しているものも同じ仕上げですのでご了承ください。
まずはとめるちゃん 27.2ラウンド・TARMAC SL7 / 8・BS RP9・BMC Teammachine の対応モデルからリリースいたします。初回ロットはキャンペーソ価格にしています。ぜひご愛用ください。

SHOP URL : https://csdesign.base.shop/