ある日ですね、晩ご飯食べてうとうとしてたわけですよ。
そうすると、なんかついったの通知がちろりん♪と鳴って
ほんでつらつらと眺めていると
時さん!
エーヤさん!
あのですね
オリンピアンから全日本チャンプをご紹介いただけるとか、まあ普通ありえんので、、
私はもう一生タイヤはブリヂストンにします
今回の場合は、実はこの時点でだいたいのデザイソはすでに頭の中に浮かんでいたんですよね。まあそういうものなんです。
ずっと選手を見てるとその方のイメージができてくるわけです、それでそこであらためて戦績とか確認して、ああ、この人はこういう経験をしてきてるんだなあとか、そうか、このときは大変だったよなあ、などと思い返しつつ「その人がかっこいいと思う自分」の「もうちょっと上」を思い描いてきちんと作っていく、そういうやり方をしています。
だいたい、これで大きく外すことはほとんどなくて、沢田選手もデザイン第一案を気に入ってくださってアイデアも聞かせてくださって、かっこいいのができました。
英也さんみたいなデザイソ、というオーダーでしたので日の丸にチャンピオソラインを組み合わせました。日いづる国の泥の王者をよく表せたと思います。
デザイソというのは、必ずそこになんでそれがあるのか、がきちんと意味があります。ちょっと置いてみましたとか、なんとなくてきとうです、ってのはあまり好きではありません。
うまいか下手かでいうと自分はまだまだで修行中ですが、いっこだけ、丁寧というのが大切だと思っていて、そこをいかに考えなしのテキトーに見せるかがデザイナーとしては一周回ってかっこいいんです。なお自分の暮らしは丁寧ではなくテキトーです。
沢田選手のデザインは次のように見ていただけると面白いかと思います。
2012年から継続でブリヂストンにいらっしゃるのでイメージカラーはもう白黒赤と決まっていました。チェイスユアドリーム!
日の丸は、横に比べて上側には少し余白を増やしています。まだ上があります、という意味です。
泥のハネは日の丸を汚さないように、かつ両脇へ飛ばしました。これは、全部自分で描いています。
「泥々上等」は最初無地だったのですが、全日本選手権をフィニッシュしたときの沢田選手の表情がすごくよかったので少し泥を付けておきました。
このようにして、V型に拓けた汚れなき純白の道を日の丸とともにさらに上へ駆け上がる泥の王者、というストーリーが都こんぶぐらいの小さなシールの中に展開されるわけです。

まあデザイソというのは正解はなくて、いいものとだめなものの境目もないんですが、こういった物語をどれだけ込められるかはとても大切な作業だと思っています。
そして大切なことをもうひとつ。経験上、速い選手はもれなくデザインに対してもはっきり、こういうものが欲しい、これはだめ、これはよい、とマッハでお返事が返ってきます。
そのたびに、なるほどこういうモノを見る目というか、自分の目指すものの具体像をお持ちなんだなあと感じ入るのです。
沢田選手はその中でひときわ、その言葉や書いた文章が非常に賢く緻密で、さすがこういう人が全日本を獲るんだなあ、そらーこれならあれだけの成果が出るよなあ、と折りに触れ感じます。
そのような素晴らしく繊細な解像度を持った方から気に入っていただける成果品を仕上げることができたのは光栄に他なりません。
何度も言いますが、全日本王者は一人だけなので、王者にシールをお届けできるシール屋も一人だけ。機会をくださった沢田選手には感謝を申し上げます。ご紹介いただいた橋本英也選手にも超感謝。いつもご活躍をとても楽しみにしています。エーヤさんのシールにもすごいたくさんストーリー盛り込んであるんですよね。いずれまたネタにしたいと思います。
#サワダトキチャンネル #ハシモトエイヤチャンネル